こんな状態以上を覚悟していたんだ。

まだ、いい方だ。




誰にも見えない程度に、小さく頷く。



「晃さん、やっぱ面白いですね!」

「やっぱってなんだやっぱって。」


そんな俺の耳に、梨本ちゃんと晃の会話が聞こえる。

自分と、...それと梨本ちゃんが哀れになって思わず目を伏せる。




__嗚呼、梨本ちゃんも俺と同じ気持ちを味わうことになるのだろうか。

なら、今教えれば...


梨本ちゃんの顔をちらりと覗き見る。

...ほんとに輝いた瞳に嬉しそうな顔をしている。


..今の俺には、この顔を苦痛に歪めることなんてできない。

ごめんね、梨本ちゃん。

俺は今、自分のことを慰めることしかできないみたいだ。

ぎゅっと、目を閉じる。