「俺は別にお前の素顔をバラすつもりはないから安心しろ。」


「...え?」

今一番気になってた事を言うとか、結城はエスパーか何かなの?

…じゃなくて!


「え?ちょ、ま、何で?!」

「バラした所で何も利益が無いからだ。それにお前の言う通り信じないだろうしな」

まぁせいぜい感謝するんだな、と皮肉っぽく喉を鳴らす結城。

「え、あ...」

私は予想外の事にただただ目を丸くするばかり。

「...そう言えばさっき私だってこれくらい分かるとほざいていたな。なら俺はもうお前に付き合う理由はない。...本当に時間無駄にした」

最後の最後まで私を小馬鹿にするような態度をとって結城は鞄を持ち教室を去ろうとする。


「...あっ、ちょ、待ちなさいよ!」

なんとか状況を整理し慌てて結城の背中に声をかける。

結城はそんな私の声を完全に無視し廊下にでる。

「ちょっと弱み握られたからって...ちょっと恩に着るみたいな真似されたって、わ、私は諦めないからね?!ぜ、絶対学年コンプしてやるんだからーー!!!!!!」


結城はいつの間にか廊下の角を曲がったらしく、私の宣言は虚しく廊下に響くのだった。