聞き間違えかと、幻聴と幻覚か、とさえも思った。


今一番頭の中を支配してた人が、目の前にいたから。




「..結城?」

なんで、ここに?


「...帰るぞ、教室に。文化祭当日まで時間がないんだ。」


私が言いかけた言葉を遮るように、暗い声で私にそう告げる結城。


「...あ、うん。そう、だよね。」


私も、そんな結城に小さく頷いて肯定の意を表す。

歩きながら、心の中で疑問を呟く。




__彼は、春太先輩とのやりとりを、見ていたのだろうか。