「は?違う。あの程度の問題が解けないとされては学年首位の名がすだるからだ」
「それを単純っていうのよ!」
「違うと言っている。それにもし誰かお前に想いを寄せている男子生徒などにあの七瀬の頼みを断ったとばれたらどうなると思う?変に話をこじらされ瞬く間に学校中に広まるに決まっている。そうしたら俺の立場が危うくなるだろう。何でも自分に都合の良い色恋沙汰に持ち込むな。」
眼鏡の縁に手をあてながら早口で淡々と話す結城。
「くっ...!」
正論と図星なだけに返すことばが無くなる。
口喧嘩なんて久しぶりすぎてなんにもでてこないわよっ...!
「...じゃあただ単に挑発に乗ったわけじゃない。そういいたいの?」
せめて何か言おうと私は思いっきり結城を睨み付ける。
「あぁ。」
当たり前だ、とでも言いたげに私を見下ろす結城。
ふ、ふざけんじゃないわよっ...!!!!!!
秀才には敵わないってわけ!?
そんなの私のプライドが許すはずないでしょっ!?!?!?
「っ、」
何か言おうとしてふと気づいた。
さっき勢いでばらしても大丈夫みたいなの言っちゃったけど、本当にばらされない自信はどこにもない。
私が怒りと不安がごちゃまぜになって固まっていると結城が思い出したように、そして付け足すような軽さで言った。
「あぁ、そうだ」