予想していたとはいえ、やっぱり思わず彼を見つめてしまう。
結城は、偽物だと思われる拳銃を腰にかけ、帽子を手に持ち、茶色などを基調とした猟師の格好をしていた。
色合いは地味だが、結城の整った顔立ちが童話にたくさんでてくる豪華な衣装を見にまとっている王子様の衣装を着ている他の男子より輝いてみせる。
...ていうか猟師ってまさか、
「舜、猟師凄い似合う!」
「赤ずきん役の憂が羨ましいっ..でもお似合いだわ...!」
予感、100点満点花丸大当たり。
女子たちが私たちを撃ち抜いてくださいと言わんばかりの視線を結城に向け、私に羨望はあるが、どこか納得しているような眼差しを向ける。
てかお似合いって...
思わず頬が緩むのを必死に押さえつけ、軽い微笑を貼る。
ふと結城と視線がぶつかり、何ともいえない切なさを感じる。
耐えきれなくなり、近くにいた女子に「材料貰ってくるね」と一言告げ、逃げ去るように教室から転がり出た。