「何かされたのか?」

「え?」

「生徒会長に、だ。」

先程は興味無さげな顔をしていたのに、今度は無表情でじっ、と私を見つめてそう尋ねてくる。

「...なんでもない、よ?」

そんな結城に、私は酷く狼狽しているのを隠し、微笑みながら否定した。

でも、やっぱり隠しきれていなかったらしく、思わず書類を落としてしまった。


「あ、」

小さく声をあげ、書類を拾う為に少しだけしゃがむ。

それを取って顔をあげると、結城が先程の無表情を崩し、驚いたような、怒っているような、辛そうな、よくわからない表情をしていた。

「結城?」

私がそう尋ねると、結城がいきなり私の首に触れた。

「...っ、ゆ、ゆう「何が、なんでもない、だ。生徒会長につけられたのか?」っ!」

思わずビクッと反応した私に、結城が強い口調で話はじめる。

痕を見られた、そう察するのにさほど時間はかからなくて、咄嗟に息を飲んで目を伏せる。

私のその行動を肯定と受け取ったのか、結城はますます眉をひそめる。