出し物は結局喫茶店ということになり、文化祭実行委員は報告と必要な道具の申請をする為、放課後部活を休ませてもらって、生徒会室へと向かった。



私は結城の顔をずっと見ることができなかった。

結城からしたら、私が結城を完全に意識しているのがバレバレだろう。


「失礼します、七瀬ですが、文化祭の報告をしにきました。」


なるべく平然を装い、生徒会室に入る。



「あぁ、七瀬ちゃんお疲れ様。」

(表面上の)綺麗な笑顔を浮かべ、私を労う言葉をかける春太先輩。

ここ最近は何もしてこなかった為、少し警戒心も薄れている。勿論全く無くなったわけではない。


「いえ、仕事ですから。...今は春太先輩だけですか?」

「うん、晃は遅れてくるらしいけど、他は皆生徒会室でだらだらしすぎて部活に出ていなかったから無理矢理行かせたんだよ。」

私が尋ねると、春太先輩はそう微笑みながら答えてくれた。

「...ふふ、」

思わず笑みが零れる。

先輩たちなら、ありえそうな事だ。

晃先輩がいないとわかると、柚希が目に見えてがっかりしていた。

「...俺たちのクラスは喫茶店になりました。許可と、材料の許可を貰いたいのですが。」

「...あ、そうだね!えっと、喫茶店は...うん、今年は希望したクラスが比較的多くなかったから、大丈夫。じゃあ、書類を梨本ちゃんにお願いできるかな?」

「あ、はい勿論です!」

私たちの会話の後、何処か不機嫌さが滲んでいる結城が淡々と言葉を発し、春太先輩がそれに答えるように書類をパラパラとめくり確認し、柚希にそう頼んだ。