なんで…こんなちっぽけな墓なんだろう。
墓地にちゃんとある。だけど、墓が小さい。
母さんは大きく生きてた。そして優しかった。
俺が父さんから暴言を受けてたとき、母さんは必死で止めてくれた。
副社長として会社のために一生懸命働いていた。
俺は家で一人になることがほぼ毎日だった。でも寂しくなかった。
母さんは家や会社のために働いていることを知っているから。
だから俺は一人でも大丈夫だった。独りじゃなかった。
なのに、離婚しちゃった。理由は父さんは母さんに愛想が尽きてたらしい。
俺は必死で止めた。でも、それは子供の願い。大人に通じるわけない。
家から出てく母さんは俺に一言残していった。
「幸せにね」
俺は父さんを嫌った。
自分が出てけばいいのに母さんを追い出した。
それから半年経って母さんが死んだという知らせが届いた。
泣いてきまくったんだっけ。それから父さんを避けた。