『――――ん…鈴川さん…』
椎名?椎名だな。
頼む、ここから出してくれ。
『そんなの無理よ』
何でだ?
『だって、鈴川さん…自分で抜け出せるじゃない。ここはどこか知っているでしょ?』
ここは…闇の中だろ?抜け出せるわけないよ。
『うん。闇の中。でも…出口に向かってるじゃない。私も探すのに時間かかったのよ?』
お前には何があったんだ。過去に…何が…
『秘密。人のことを気にする前に鈴川さん自身のことを気にしなよ』
わかっている。もし…俺がここから抜け出せたら教えてくれるか?
『分かんない。でも…もしかしたら…教えられる日がくるかもね』
ああ。その前に俺はここから抜け出さなくちゃな。頑張るよ。
『うん。頑張れっ』
―――ん…
また変な夢を見た。
でも、こないだのように辛くない。前に踏み出せる、そんな気がするんだ。
「よしっ」
「どうしたんだ?」
「和田、俺…頑張るっ!」
「?よくわかんねぇけど頑張れよ」