葉神椎名。なぜそいつがここにいる?
「俺が呼んだんだ」
和田がリビングから出てきてそう言った。
余計なお世話だよ。
「ごめん、二人とも帰って」
「俺は帰るけど葉神は帰らないよな」
椎名を見てみると小さくこくんと首を縦に振っていた。
「じゃ、俺帰るわ。葉神、あとはよろしくな」
玄関に置いてあったランドセルを背負って和田は帰って行った。
「とりあえず入ったら?」
「うん、ありがとう」
心の奥底にあるのは嘘つきになれるスイッチ。
今そのスイッチを押したような気がした。

「わぁ、鈴川さんの部屋広いね」
女子だから一応部屋にいれた。
「で、何」
「あ、うん。何で今週学校来なかったの?」
やっぱそれか。
理由なんてどうでもいいじゃん。
普通そっとしとくよな?関わらないよな?
こんな俺なんかどうでもいいよな?
ギュッとズボンを握った。
「別に」
「…夏川さんに聞いたよ」