「鈴川、起きろっ!」
ゆっくり寝ていたのに起こされてしまった。起こしたのはもちろん…
「和田」
今何時だろう。七時ぐらいか?
「どうしたの?」
「早く出かけるぞ」
え?
今俺はすんごいアホっぽい顔をしているだろう。
というかなんだ。出かけるって。
「どこへ?」
「アホかっ!お前の家だよ!帰るんだろ?」
あ、そうか。帰るんだ。
いつまでもここにいちゃ迷惑だよな。
「お前のバックは玄関に置いてあるから、顔洗って…朝飯はどうする?」
「…」
帰るの?また一人になっちゃうの?
「俺はリビングにいるからな」
ギュっと和田の服の袖を掴んだ。
「…何」
「夕方まで」
「え?」
「夕方までいさせて。迷惑だと思うけど…」
「…わかった。ただし、夕方までな?」
よかった、単純で。
ここで嫌だなんて言われたら俺、傷つくだろうな…
「ありがとう」
その後は俺が朝飯を作り一緒に食べた。そして一回家に帰った。風呂入ってないから。

「よし、出発!」
和田は一緒についてきてくれて俺が風呂入ってるときはテレビを見ていた。うちのテレビ、あんまり良いもの撮ってないんだけどそれでもいいって言われて一番俺が気に入っているものを見てもらった。
そして今。
お互いの自転車に乗り、思いっきりペダルを漕いだ。
「あれ?こっちだっけ?」
「違う、こっち」
今日も生ぬるい風が吹いている。蒸し暑い。
あと一週間で夏休みとなるとちょっとワクワクしている人も多いだろう。ちなみに俺もその中の一人だ。
夏休みは何をしよう。まずPCだろ、そしてゲームだろ…
「和田は夏休み何するの?」
なんとなく訊いてみた。
「俺か?俺はグダグダしてるな。あと友達と遊んだり祭りに行ったり。まあ、祭りは誰と行くか決まってないんだけどな」
友達と遊ぶなんて信じられない。俺にとって、だがな。皆夏休みに一回は友達と遊ぶと思うが俺は去年、一回も遊ばなかった。逆に自分を尊敬してしまう。
「へぇ、ずいぶん予定がしっかりしているな」
「お前がしっかりしてなさすぎるんだよ。どうせ一人で夏休みを過ごすつもりなんだろ」
「なぜわかった!?」
「いや、なんとなく」
そんな会話をしていたら和田の家に着いた。
「またまたおじゃまします」