和田も私服だし。気、使わせちゃったかな。
「なあ、鈴川」
「ん?」
「お前、なんで暗闇ダメなんだ?」
「それは…」
「言いたくないならいいぞ?」
「いや、言う」
俺達の間は結構あるが声はよく聞こえる。
タオルケットだけで、ちょうど良い。布団はふかふかだ。
俺はタオルケットをかぶっていて和田の姿は見えない。
ゆっくり口を開けた。
「なんか、怖いんだよね。誰もいないようで。あることがきっかけでなんか閉じこもっちゃった。その時、心が真っ暗だった。
その次に、見えない世界が真っ暗になった」
「見えない世界って?」
「人間関係に似てる。四角い世界。その世界は最初は誰でも明るく見えた。というか明るかった。でも、あるとき俺の前に扉が現れた。俺は気になってその扉を開けてしまった。その先は真っ暗だったんだ。この先はどうなったんだろう、そう思い進みだした。
どのくらい経ったんだろうな。振り返ってみると何にもなかった。戻ろうとしても真っ暗でどっちに進めばいいかわからなかった。助けを呼んでも誰も答えてくれなかった。いつのまにか俺は一人になっていたらしい。周りに誰もいない。そう気付いたとき、暗闇が怖く思えてきた。それからダメになっちゃったんだよね…」
「ふーん…いろいろあったんだよな。でも大丈夫だ」
急に眩しくなった。和田が電気を点けてくれたのだろうか。
俺はかぶっていたタオルケットをどかし、起き上がった。
和田は笑っていた。
「こうすれば、誰か見つかるだろ?いいか、お前は一つ間違っている」
「間違っている?」
この俺が?