和田に連れてこられたのは一軒の普通な家。
「ここだ。入っていいぞ」
「おじゃまします」
男の家とか初めて…
緊張するー。
家の中は普通で、テレビがあって机と椅子がある。
綺麗な家だなー。無駄な物が一つも無い。
「荷物ここに置いて、トランプやるか?」
「え?いいの?やりたい」
「よし、決まりだな」
久しぶりだ。誰かとこんなに喋るの。

「あーまた負けた!」
「和田、七並べといい、神経衰弱といい、ババ抜きといい…弱くない?さそったくせにこんなのあり?」
「お前は強すぎるんだよ!もう寝るぞ!」
トランプを床に投げて和田は立ち上がった。
俺もトランプを置いて立ち上がった。
「和室で寝るの?」
「ああ。布団は端っこどうしだからいいだろ?」
「う、うん」
すんごい端っこだ。
別にいいけどね。
「おやすみ」
「おやすみ」
パジャマもなく、私服で寝るなんて何年ぶりだ…?