司会がそう言って笛が鳴った後、俺たちは進みだした。
「ねぇ、ちゃんと頑張ってよね?」
「わかってる」
俺は完璧頑張れないから和田に頑張ってもらうしかない。
最初は理科室か…
ドアの前に立って、
「用意はいいか?鈴川」
「いつでもOKです」
まるでスパイ同士の会話みたいだな。本物のスパイはどんな会話をしているのだろうか。
和田がドアを一気に開けた。
「わぁ!!」
「きゃっ…!」
ガンッ!
何かが倒れる音がした。
それは入り口に置いてあった人体模型だったらしく、俺の真正面に倒れてある。
あれ?俺、今どうしてるんだ?
「ってー…」
そんな声がした。
下を向いていた顔を少し上げてみるとそれは壁じゃなかった。
それは和田だった。
ん?腕がちょっと痛いような…
腕を見てみると誰かの手が俺の腕を掴んでる。
ようやく理解できたような気がした。