授業中はもちろん外を眺めていた。ちょうど一年生が体育をやっていて、ずっと見ていた。いわゆる人間観察ってやつだ。
大縄か…懐かしいな…あ、あの子引っかかった。
視線を感じるのは気のせいだろうか。和田がこっちを見てるような気がする。
そーっと横を見てるとやっぱり和田がこっちを見ていた。
「何」
「いや、なにも」
何だよ…てか返事どうしよ。悩むってことは、嫌いじゃないってことだよな?
相談できる相手なんていないし…俺と私で相談すればいいか。あ、でも私はたぶん話してくれない…というか話したくもないな。
おかしい、何で悩んでいるんだ?俺だったらスパッと言うはずなのに…
まさか…いや、ん?でも…

「鈴川!明日なっ!」
ドキッ
ん?今なんだ?心臓が一瞬なったような…
気のせいかな…
それは気のせいではなかった。
あれからずっと和田に会うとドキドキするんだ。それはたぶん気のせいではない。感じるんだ。
好きとかはわからない。わかるはずがない。和田はどうやってわかったんだろ。教えてほしい…
「鈴川―」
呼んできたのは和田。
廊下でも話しかけるって何…
「何?」
毎回同じ返事。あきないだろうか。
「次理科室に移動するらしいぜ?早く用意しな」
「あ、そうなんだ。ありがとう」
理科室嫌いなんだよな…薬品の臭いするし。そしてなにより心霊スポットの一つだし。
今日…夜肝試しじゃん!なんでそんなことも覚えてないのかな…