それは、私が最初にオススメとして教えたビーフシチューで。

「ビーフシチュー美味しいですよね」と、彼が微笑みながら言ってくれた。

自ずと私の頬は弛緩する。

それは、私にとって嬉しい言葉。


「あ、雪絵さんは…」

「え!?何で、私の名前…」

「呼ばれていたのを聞いて。それに…」


チョンチョンと自分の左胸を指し示すと「名札がありましたからね」と言葉を続けた。