「あの、すみません…」

「…………」


私は地味子。本当は自分から話しかけに行くべきではない。

けど、これは仕方のないこと。我慢、我慢…


彼は本に注いでいた視線をゆっくりと上げた。

自ずと、その瞳が私を捉える。

そのことに既視感を覚える私の脳。


彼に会ったことがあるの?

でも、その顔に見覚えはない。

じゃあ、ただの気のせい?