「いらっしゃいませ」

何度目かの台詞。私は笑顔で接客する。

入ってきたのは、一人の青年。このお店では見たことのない顔。

青年を席まで案内すると、私はその場から離れる。

…はずだったんだけど。


「すみません」


呼び止められたらそれはできないよね。

私は青年の方へと向き直った。


一体、何の用ですか…と、言うことはできるわけがない。

私はただ「はい」とだけ返事をした。


改めて見る青年の顔。

その目はどこかで見たことがあるような気がした。

どこで見たのかは分からないけど。