「もう、いいよな…?」


呟く声が聞こえてきました。

彼は俯いていた顔を上げる。目元には薄っすらと涙が見える。

そんなに面白かったのですか?

一体、何に対して彼がここまで笑っていたのか私にはさっぱり分からない。


「雪絵」

「な、何ですか!?」


前触れもなく名前を呼び捨てにされ、言葉が痞えてしまった。