2時間後

「そろそろ、花火の時間か?」

クリスが言う

「あと30分くらいかな。」

朱里が言う

「近くの埠頭だとよく見えますよ。」

明日香が言う


「この近くは立ち入り禁止じゃねぇのか?」


幸大が言う



「大通りはフェンスで封鎖されてますけど、こっちから抜けれます。」


明日香が先導して埠頭のフェンスの内側へと入り込む




「ねぇねぇ、何でこの港はフェンスで囲まれてるの?」


ジニーが言う

「確かに、他の港はこんなフェンスはないな。」


なずなが言う


「フェンスとかで囲われてる港は外国の船が入って来れる港なんだ。

輸入品とか。」

幸大が言う


「へぇ、意外と物知りね。」

シェリーが言う





ヒュ~~~~~~~~~……

ドォンッ!!!!


夜空に大輪の花が咲く


「わぁ…綺麗ッスね!」

あずさが言う


「たーまやー!」

ジニーが言う



「幸大…」

なずなが花火の音に掻き消されそうな小さな声で呼ぶ

「どうした?」

「は…花火を背景に、キ、キキキ、キスをするとか……風流だと思わないか…………?」


なずなが幸大の裾を引っ張る



ヒュ~~~~~~~~…………

「なずな。」

「なんだ!?」


ドォンッ!

大輪の花がもたらす轟音は一切の音を掻き消した

轟音が生み出す静寂の中、なずなと幸大は口づけをする





大輪が散り闇が訪れると二人は静かに離れた






少しして花火が連続して上がる

スターマインというやつだ



「そろそろ終わりね。」

シェリーが言うとひときわ長く空に昇っていく花火



「幸大。」

「ん……?

んんっ!?」



今までで一番の大輪を幸大とシェリーは眺めていなかった

咄嗟に驚き目を開く幸大と目を細めたシェリーが向き合い、唇を重ねていた



「ぷはっ!

い、いきなりかよ…」

「なずなともしてたじゃない。」

「まぁ…そうだけど…」


「それより、ベストショットじゃない?」


シェリーがスマホを見せる

そこには花火を背景に二人のキスショットが写っていた




「待ち受けにしよ!」


シェリーが言う


「何、二人でいちゃついてるのさ!」

ツバメが花火の余韻が消えて話しかける


「べっつにー。」

シェリーが嬉しそうに誤魔化す