ガシャンッ！グシャッ！ゴシャッ！ガシャアンッ！



突如響いた騒音にその場に居た者は動きを止め、しばしの静寂が流れた


そして、全員の視線は一点に向けられていた


ホテル前の大通り

ホテルと大通りとの出入口を塞ぐように駐車されていた黒塗りの車５台


まるで玉突き事故が起きたかのように後ろの車が前の車を押し潰し、それが玉突き事故よりも悲惨なほどに、車の原型をとどめずにスクラップにされていた


一番後ろの車もおおよそ人間業とは思えないほどに車が潰れていた



「出入口を封鎖する迷惑車両をどかしたのだが…その前に停まってた迷惑車両も一掃できたようだな。」


「な…何者だ!?」


「ただの保護者だ。」

「保護者？

誰のだよ！」

ヤクザたちが言う


「そこに、私の可愛い娘が二人居るじゃないか。


なぁ、なずな、すみれ。」


「父上！」

なずなが言う

「一緒にロビーまで降りたのに居ないと思ったら外に居たの？」

すみれが言う



「で、貴様らはうちの娘をたかだか1,000万円で取引しようなどと…


覚悟はできているな？

娘を傷付けるならば、武神流当主 朝霧 壮一郎が容赦せぬぞ？」




「ワシも…このお嬢さんたちを守ると先ほど、将来の孫に約束したのでな…破るわけにはいくまい。


武神流先代当主 朝霧 連太郎がお相手しよう。」



連太郎が前に出る



「お言葉は嬉しいが、娘のことは父親である私が守りますので御気遣いのみありがたくお受け取り致します。」


「お父さん…」

あかねが言う


「服部 才蔵…愛娘のために推参。」




「私も武人会への義理立てはした。


可愛い弟子のため…そして、ドラゴン・アーツの実力を見せるために一肌脱ぐとしよう。」

「師匠、遅いぞ。」

クリスが言う

「あの人、確か幸明に…」

幸大が言う


「そのあと、武人会に入ったの。

私たちがここに居たのも師匠と一緒に式の列席者として来たからなんだ。」


ジニーが言う