仙湯



チャポンッ…


「それにしても…体の疲労感や違和感はともかく…

何かを忘れてるのか…何かをやってた気がしたんだけどな…


かと言ってなずなやジニーに聞いても何もなかったって言うしな…」


幸大は空を見上げた





「独り言と物忘れはボケの始まりよ?」


「え?

あ…ヒバリ!?」


「久しぶり。

去年の夏だから、半年以上会ってなかったね。」

ヒバリが言う


「あの…せめてタオルを体に巻いてくれないか?」

幸大が言う


「別に濁り湯なんだからあんまり見えないじゃない。

それに、前にタオルは禁止って言われたでしょ?」


ヒバリが言う



「…。

ツバメは元気か?」


「…。」

ヒバリが俯き黙る


「ヒバリ?」


「あんたさ…お姉ちゃんのこと、好き?」


「…ああ。

それがどうかしたのか?」

幸大が言う


「お姉ちゃんが他人には言うなって言ってたんだけど…


お姉ちゃんはもうすぐ結婚するんだ。」


「な!?

マジか!?」


「とは言っても…お姉ちゃんが望んだわけじゃなくて政略結婚みたいなモノだけどね。」


ヒバリが悲しそうに笑う