放課後



校門前


「遅かったな。」

幸大が立っていた

「幸大…待ってたのか。」

なずなが困った様な笑みを浮かべた

「何か用事でもあるのか?」


幸大が言う

「いや、そうじゃないんだが…その…」



ブーーンッ…キキッ。


黒塗りの車が止まった


「巫女様、お迎えに上がりました。」

運転手がドアを開ける


「…。

ああ。」

なずなが戸惑いの表情を浮かべた


「御姉様、早くお乗りになって…」

中からなずなにどことなく似た少女が出てきた


「妹か?」

幸大が言う


「ああ、すみれだ。」


「…。」

すみれは幸大を値踏みするように見ただけで何も言わない



「なずな、また明日な。」

幸大が右手を軽く挙げながら言う


「すまない…もう、会えないんだ。」

なずなが言う


「え…?」


「私は武神流の本家に産まれたが女だ。

武神流は代々男が継ぐ。


武神流の女性は武神の巫女と呼ばれ、将来の伴侶を武神流の門弟から選ばなければならない。


もう、ここにも…君の元にも戻れないんだ。」


なずなが言う


「な!?

そんなのおかしいだろ!?

しかも何で今なんだよ!?」



「明日は…私の誕生日だ。

代々…そうやって武神流を継ぐ者を決めてきたんだ。


明日、選出の儀を以て私の将来の伴侶を私が決めなければいけないんだ。」


「そんな…」

「君と…初めて会ったときに武神流の門弟に入れていたら、私は君を選べたのに…」

「え…?」


「さようなら。」


なずなが車に乗る



「御姉様の心を惑わせないで!」


すみれがそう言って車に乗ると車が走り出した

「…。」