『グルルル…』


「!

虎!?」

姫川は一瞬、幸大の横に佇む虎の幻影を見た


「まだ不馴れだが…


虎喰(コクウ)」


『グルルル…』

「!?

いつの間にか虎の幻影が私の後ろに!?

いえ、そもそも幻影を相手に見せるほどの気迫はあの男にあるように見えません…しかし、」



「見つけた。」

幸大が言う


「はったりです!」


姫川が素早く動き回る

幸大はまったく動かない


「何で、この虎は私の後ろをついて走ってくるのよ…」

姫川が言う

「攻撃してくる様子はないし、無視して男を倒す!



舞姫流奥義、瑞鳥・鳳凰!!」


高速な突進と共に放たれた拳


「流流し!」


ふわっ…


バゴンッ!!


姫川の拳は軌道を逸らされ樹木に当たる


「今のを捌くなんて…」


メキメキッ…ビキッ…バキキ…

「!

危ない!」

「え?」

姫川の殴った樹木が姫川の方へと倒れてきた


反動の大きな技で咄嗟に動けない姫川の真上に…