「…。

殺気に気づくと言うことはそれなりに実戦の経験があると言うことか?」


フェンリルが樹の影から出てきた


「さぁ、どうだろうか…?

試してみたらどうだ?」

クリスがカバンを地面に置く

「あんたたちは私がまとめて相手してあげるわよ?

こんなボッチの手助けは要らないわ!!」

シェリーが言う


「?

クリス、ボッチって?」

ジニーが言う

「一人ぼっち…つまりは人付き合いの出来ない奴のことだ。」

クリスが言う


「人付き合いなんて要らないだろう?


他人なんてのは自分より強いか弱いかの二種類だ。

お前にはわからないだろうがな。」

フェンリルが言う

「…昔の僕も、弱い奴を見下してたからわからないでもないさ。」

クリスが言う


「実際に…サシで戦えば俺は永塚よりも強い。

だが…永塚が集団を使うのでは俺が弱い。



俺が永塚のグループに居るのは永塚のグループの全てを駆使しても俺の方が強くなるためだ。


俺の方が強くなった時…永塚たちはすでに無価値、無意味、無縁だ。」


フェンリルが言う



「悪いが…君の言いたいことは僕にはまったく伝わらないんだ。


昔の僕なら、君と解り合えたかも知れないが…今の僕には昔の自分の言い分も、君の言い分も理解できなくなったんだ。


僕はたった1人の今まで会った多くの人々の中で唯一の存在…最強の弱者によって、変えられたんだ。」


クリスが手のひらを見つめたあと、強く拳を握る


「…。」

フェンリルも拳を握る