仙湯


「ふぅ…」

幸大が湯に浸かる



「ありゃ?」

幸大の耳に女性の声が聞こえた

「え?」

幸大は目の前のタオル一枚に身を包んだ女性と目が合う


「…。」
「…。」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

女性が叫ぶ

「ちょっ、ちょっと待った!!」


「舞姫流、獅子菊・蒲公英(タンポポ)!!」


ドウッ!!

女性が重い拳を放つ

「応・流流し!」


ふわっ…ピタッ!


女性の拳は流され幸大の左脇腹を通り過ぎ、手首を掴まれて動きを止められた

手首の位置は幸大の肩よりも後ろ

幸大は肩を動かさず腕だけを後方に移動させていた


つまり…相手との間合いは狭い

30㎝もない距離だ


「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

はらり〜

女性が捕まれた手を振りほどこうと暴れる


「な!?」

幸大の目と脳には逆さになったお椀のような形のモノが2つ、焼き付く


幸大の手首を掴む力は抜ける


「舞姫流、桜樹(おうじゅ)・葉桜!!」


ドゴッ!!


「げふっ!?」

幸大の腹部に後ろ蹴りがきまる

バシャンッ!!

幸大は風呂から飛び出て床に横たわる



「何事だ!!」

「何かあったの!?」


なずなとすみれがやって来る