「まぁ…彼には武の心得はないが喧嘩による実戦…場数が多い。

それは純粋な戦闘力が高いと言うことさ。」

「幸大なら武でその力量の差を埋められると?」

なずなが言う

「彼の全力を見てないからなんとも言えないさ。

まぁ…幸大君が負けそうになったら僕が出ていくさ。

僕は幸大君の師匠だからね。

それなら心配いらないだろ?」

幸明が言う


「余計な準備は不要だ。

幸大ならあんな不良なんて打ち倒すに決まっている。」

なずなが言う


「それに、この喧嘩は一人でするわけじゃない。

だから、師匠の出番はないな。」

幸大が言う


「やっぱり君は面白い。


なら僕からは何も言うことはないよ。

じゃあね。」

幸明が立ち去った


「さて、手当ての方は終わったわよ?

仙湯に行くならさっさと行きなさい。

仙湯には包帯をしたまま入りなさい。


もう外は暗いし、明日は休みだから泊まっていくでしょ?

怪我人だから仕方なく泊まることを許すわ…


着替えは用意しておくから。」

すみれが言う


「ああ。

手際も良いし、気遣いもしてくれて…すみれはいいお嫁さんになりそうだな。」

幸大が言う

「な!?

誰があんたの嫁になんか…」

「いや、別に俺のじゃなくてもさ…」

「な!?

あ、その…


あんたに言われても嬉しくもないわよ!」

すみれは足早に部屋を立ち去った

「さて、仙湯に行くか。」


「幸大。」

なずなが取り繕ったような優しい声で呼ぶ


「ん?」

ドスッ!

「ぬぉあっ!?」

なずなが人差し指で幸大の右胸部をつついた

「な、何を…」

「ふんっ!」

なずなは強めに足音を鳴らして部屋を出ていった