痛み。

「力、抜いて」

秋雄がささやく。

押し広げられる、痛み。

「痛い………」

思わずつぶやく。

「痛い?」

耳に秋雄の、声が甘い。

私の言葉を聞いて、

反射的に少し離れてしまった彼の体を

私の両手が引き戻す。

自分の意思よりもはるかにやさしく動く、

私の両手。

「ううん。大丈夫・・・」

意識して、全身の力を抜こうとしても

どうしてもこわばる。


・・・・・・・・・・・・怖い。

傷つけられているような、錯覚。

ちぎられていくような、痛み。

深く、息を吐く。

吸う。

痛い。

痛い。

痛い。

痛い・・・・・・・・・・・・。


「芽衣」

名前を呼ばれ、はっとした。

「ちょっと、休憩しよ」

「え…?」

「喉かわかない?なんか飲もーか」

「・・・・・・?う、うん・・・・・・」

体を離し立ち上がりながら、

「汗、すっげーかいた。」

秋雄は笑い、冷蔵庫から

ペットボトルのウーロン茶を持って来てくれた。