「雫、さっきの話に戻っていい?」
「何の話ですか?」
「一緒に暮らす話」

 それを聞いた雫は頬の熱が上がった。

「は、はい!」
「同棲は急がなくていいけれど、たまに互いの家にお泊りしてみない?」
「お泊りですか!?」

 毎日でなくとも、雫はかなり緊張する。オロオロしながら、何を話すべきか悩んでいた。


「修学旅行だと思ったら、少しは気が楽にならない?」
「修学旅行?」

 そう考えると、確かに少しだけ気が楽になった。
 お泊りに興味を示した雫に春成がほっとしたように笑っていた。

「だからさ、今日から始めてみない?」
「始める?」

 家のチャイムが鳴り、玄関の扉の覗き穴から見ると、春成が立っていた。