遠い目をして、母は言う。
「いるに決まってるでしょう?だって此処は、お母さんの生まれ故郷だもの。ここで…お父さんとも出会ったのよ。」

「マジかよ…そんなこと俺初めて聞いたぞ。」

「別に、あんたにとっては大事でも何でもないでしょう?」

まぁ確かに僕にはあまり関係無いかもしれないけれど。でも、僕にだって母親のことを知る権利は少しくらいあるはずだ。
どさくさに紛れて、前々から気になっていたことを聞いてみた。

「じゃあなんで、俺が生まれてから一度も里帰りしなかったの?」