やっぱり、綺麗だと思った。
心なしか哀しげな表情で、あと一歩でも近付けば崩れてしまいそうな程に儚げな横顔。


「まだ…残ってたんだ。もう暗くなるけど、大丈夫?」

突然声をかけられて、一瞬驚いた様子だったが、こちらを振り向いて、初めて会ったときのように微かに笑んだ。今度は間違いなく微笑んでいる。




…………
暫く、無言が続いた。でも、不思議と重苦しい雰囲気ではなかった。それどころか、心地よかった。


その時間は、1分とも思えたし、10分とも思えた。