ガブリィは眠れず、外のベンチに座っていた。


神殿の中庭の端っこのベンチ。


そこがガブリィが密かに気に入っている場所だった。


「ここで見る星達はやっぱり綺麗だな」


―空はいつ見ても綺麗な物だ。日中に限らず、夜中もな―


ガブリィは神が昔、このようなことを言ったのを覚えている。


「月は…毎日毎日変化するな…」


昨日よりも三日月に近づいた気がする。


「今宵の月も綺麗な物だ」


(一番、綺麗な物……なんだったか?)

         
―一番、綺麗な物は■■■■■■■■■■だよ―


(かなり、昔のことだったので忘れてしまったようだ)


夜は次第に更けていく。