「夢を見た」


「ほーお。どーんな夢だ?」


「最初の方はよく覚えていない。が、最後ははっきりと覚えている」


ガブリィの手が震えているのを見てマルコが代わりに口を開く。


「手も周りもなにもかも全て血だらけ、か?」


「何故、分かった!」


「話の流れからすりゃ、そうだろが」


鼻で笑うマルコ。そして不意に立ち上がる。


「長く話しすぎた。あんたには……いや、誰も来て欲しくなかった」


ガブリィは首を傾げる。


歌を歌ってたが聞かせたくなかったのか?と思っていた。


「今から脱走する」


「なっ!馬鹿な聖なる手枷があるのにか?さらに言うと私がその言葉を聞いた時点で逃がすと思うのか?」


ガシャン!!と大きな音と共に白い手枷が外れる。


「鍵かけて…と」


マルコがガブリィに向け、クルリと人差し指を一回転させる。すると、ガブリィの腰辺りでカチャンと音がした。


「ま、相手が誰だろうと、知られちまった以上、連れて行くからな」


ガブリィがノードリームを抜こうとするが抜けなかった。


「誰がそれを作ったと思ってんだよ。バッチリ固有封印かけられんだよ」


鉄格子をいともたやすく曲げ、ガブリィを抱え込む。


「離せ、はなせぇぇぇ!」


「うるさい!!結構痛いから叩くな!!」


「…………」


ガブリィの目がマルコの股間を見る。


「待てぇぇ!そこはやめい!」


そこへ誰かが牢屋の中に入ってくる音が響く。


「悪魔が逃げるぞ!!」


ガブリィは叫んだ。マルコは舌打ちをする。


「兄貴が!?」


来たのは偶然か。マリクだった。


「マリク!!抵抗すんじゃねぇぞ!!」


マルコは素早くマリクも抱え込む。


「シズク!!穴を見せろ!!」


「ここですー」


小さな水色のオーラを纏った人はふわふわ浮いて誘導する。


マルコは姿を現した大きな穴に飛び込んだ。