生意気なKiss






それから何度も何度もセンパイに電話をかけて、何通も何通もメールを送ったけど、電話に出て貰えることも、返事が来ることもなかった。





…センパイは多分、俺が音羽と浮気してるんじゃないかと思ってるんだと思う。



そんなことあるハズないってメールに散々書いたけど、果たして読んでくれているのか。




「はぁー…」


「真木くん、手止まってるよ」


「…あ、すみません」




店長に言われて、慌てて洗い物を再開する。



すぐ近くではデザートを作っている音羽。




俺が彼女がいると言った途端、ここに面接に来た。





音羽はよく気が付くし、物覚えも早いから、店長は喜んでるけど。






「…お疲れさまでした」


「お疲れさまでしたー!」




22時。



音羽と一緒に店を出る。




「翼明日もだっけ?」



「そう」




一ヶ月くらい前から、店長に頼んでシフトを増やしてもらった。



理由は、センパイに早く会いたいから。



センパイは多分夏休みにこっちに帰ってくると思うけど、できたらその前に、俺から会いに行きたい。




でも学校もあるし、未成年が働ける時間は限られてるし、なかなか貯まらないのが現状。