「だ、だってそう言われたし…」
あまりの迫力にたじろきながらもそう言うと、
「…言われた?」
真木の眉間の皺がさらに濃くなる。
「っこないだ真木に電話した時、知らない女子が出て言われたんだよ!
翼の彼女は自分だから、もう電話とかするなって!!」
「……音羽(オトハ)か…」
暫く無言で考えていた真木がボソッとそう呟く。
どうやらあの女子の名前は音羽というらしい。
…真木も名前で呼んでるんだ。
「…知らない間にずいぶん仲良くやってたみたいだな。家にもよく行ってるんだろ?」
「それは」
「あたしはずっと真木のこと考えてたのに!
真木は電話もくれないし電話してもすぐ切るし、もうあたしのことなんてどうだっていいんだろ!?」
感情に任せて喋ると、真木がちょっと驚いたように目を見開いて
…あぁ
もうダメだ
いつからこんな女子になったんだあたし。
「…帰る」
真木の手を振り払って背を向けた。
これ以上話したら
もう終わりは一つしかなさそうで
「…っセンパイ!」
ふっと目頭が熱くなりかけた時、強く腕をつかまれて
そのままグイッと引き寄せられる。
「…すみませんでした」
…それは
何に対しての?
…もうあたしに気持ちがなくなったことに対してのごめんって?
「っはなせっ…」
もう聞きたくない
それ以上聞きたくない。
はなれようともがくけど、さらに腕の力が強くなる。
「っおい…!!」
「でも…言ったじゃないですか。
俺に他の女子見てる余裕なんて全くないんですよ」
「なに…」
「音羽はただの幼馴染です。センパイに自分が彼女って言ったのなんて全部アイツの出まかせで」
…幼馴染?



