生意気なKiss









「お疲れさまでした!」


「お疲れー」



部活が終わって先輩を送り出して片付けやらなんやらの雑用をして。



家に着いた22時。


ギュッとケータイを握りしめ、


真木の名前を呼び出す。




…昨日のことを問い詰めたくて、とか、そんなんじゃない。





ただ、真木の声を聞けば





今考えてること全部誤解だって、安心できる気がするんだ。





プルルルル…ガチャッ




『センパイ?』



ほら。



いつもの、真木の声。





「…真木」


『珍しいですね、センパイから電話くれるなんて♪』



嬉しそうに笑う真木に何となく心にあったわだかまりが、フワリと溶けてなくなっていく。




『何かあったんですか?』


「いや…別に。暇だったから」




そんなことを言うあたしは我ながら可愛くないと思うけど





『そうですか』



なんてクスッと笑う真木はたぶん、全部分かっているんだと思う。





真木。



会いたい。





あんなに毎日会ってた高校時代の毎日に




一週間だけでいいから戻りたいって、最近あたしは、毎日のように思ってる。