「浮気じゃん」
「浮気!?」
昼休み、学食にて。
あたしの箸からボトッとカツが滑り落ちた。
「…いや…普通に考えたらそうなんじゃない?」
目の前で優雅にタピオカミルクティーを飲むのは、大学の剣道部の同期である、有泉京香(アリイズミキョウカ)。学科も一緒だから、たいてい大学では京香と一緒にいる。
「だって彼氏のケータイに電話したら女が出て、彼女って言われたんでしょ?」
「…そうだけど……」
そうだけど。
冷静に考えたらそうなんだけど。
どうも、真木と浮気って言葉が結びつかない。
毎日電話をくれて、メールもくれて、早く会いたいって言ってくれて…
でもそういえば、最近前よりも、真木から電話をくれることが少なくなった。
だから昨日もあたしが電話して、そしたら…
「まぁあんた達ラブラブだし、なんか他に事情があるのかもよ?」
「事情?」
そう、と冷静に頷く京香は頼りになる姉御肌。特に恋愛事においては京香に頭があがらない。
「とりあえずもっかい電話して話してみな、彼氏と」
「…わかった」



