生意気なKiss






…真木は視線を下に落としたまま何も言わない。



前髪で表情がよく見えなくて、それにどんどん不安が積もっていく。






…どうしよう。



もし無理だって言われたら。




「…ま、真木…っ」




たまらず呼びかけたら不意に腕が伸びてきて




「…センパイ、やっぱりバカでしょ?」




優しく抱き留められていた。




「ば、バカ?」


「俺がそう簡単にセンパイを手放すと思うんですか?」




ふっと耳元で真木が笑った気配がする。




「遠距離?余裕。

俺のセンパイを思う気持ち、ナメないでくれます?」





言っときますけど超重いんで、と体を起こした真木が目を細めて。




「いってらっしゃい、センパイ♪
センパイならどこに行っても大丈夫ですよ♪」



「…おー」





あたしは思わず泣きそうになって、下を向いた。