地元に残って、剣道を続けるって選択肢ももちろんあった。
ここには家族も友達もそして
…真木もいるから。
でも
「…一回逃げた道にもう一回入るってことはそんな生半可なことじゃないと思う」
だからこそ
「自分一人でやってみたい」
ここから少し遠いけど、親父の母校であるS大。
インカレでも何度も優勝経験のある強豪中の強豪。
「あえてここを離れて、自分を試したいんだ」
「………俺と離れても?」
真木の瞳が真っ直ぐ胸に突き刺さる。
ずっと考えてた。
誰よりも…家族よりも真木と離れたくないと思った。
知らなかった。
いつの間に、真木の存在がこんなにも大きくなっていたなんて。
「……離れたくない。ずっと一緒にいたい。
でも……あたし真木といたら絶対に甘える。
自分がどこまでやれるのか挑戦したいんだ。
だから…」
怖かった。
もしかしたら、別れようって言われるかもしれない。
…それでもあたしはこの道を歩きたいから。
「…離れても、あたしと付き合ってくれるか…?」
二人の距離は離れても、一緒にそれぞれの道を歩みたい。



