生意気なKiss





「はい、じゃー切り返し!はじめ!!」




その後すぐに防具をつける。



生徒は5人でペアになると一人余るから、あたしも防具をつけた。





必死にあたしに向かって打ち込んでくる子供たち。




…なんか、一生懸命だな。



そんで楽しそうだ。





…あたしが剣道をはじめたのは三歳の時。



それから一度だって剣道が嫌いだって思ったことはない。




でも、成長して、試合をして、部活に入って





…好きって気持ちだけじゃどうにもならないことがあるって分かった。





知らないうちに、純粋に剣道を楽しめなくなってたものかもしれない。





「おいっセンセーの娘!どうしたんだよボーッとして!」




ローテンションの途中、例の生意気なガキが話しかけてきた。




「稽古に集中しろよ!」



「…なぁ」




ふいに聞きたくなって。




「…楽しいか?剣道?」



「はぁ?あったり前じゃん!


楽しいからやってんだろ!!!」







確かにあたしにも、こんな時があったのに。