「ドーゾ♪」
「…お邪魔します」
結局来てしまった。
真木の家。
「…家の人は?」
「今いないです♪
俺んち共働きだし」
へぇーということは今この家にはあたしと真木と二人
「二人!?」
「え、どうかしましたか?」
「い、いや別に…」
途端にバクバクと暴れだす心臓。
「…なーんか変なこと考えてます?♪」
心臓を落ち着かせようと必死になっていると、ふいに影がかかって
…トン
背後のドアに片手をついた真木が、いつになく怪しげな瞳であたしを見下ろしていた。
「…センパイのご期待に応えましょうか?」
「…ご、ご期待…?」
「例えばこんなの…とか?」
そしてあたしの肩に顔をうずめたと思ったら
「っ!?」
い、いいい今みみみ耳
「…センパイ顔まっか♪」
クスッとおもしろそうに笑う真木の吐息が頬にかかる。
「かっ帰る!!」
思いきり真木の胸板を押してドアを開けようとすると
「冗談ですって!」
ちょっと焦ったような真木があたしの腕をつかんだ。
「…別に変なことするつもりはありませんから。今日は♪」
「…今日は!?」
「いいから、お腹減ったでしょ?俺なんか作りますね」
そしてまだ心臓バクバクなままのあたしを玄関に放置して一人家の奥に消えていく。
「おっおい真木…!」
あたしは暫く玄関をウロウロした後
「…さっきみたいなことしたらぶっ飛ばすからな!?」
そう叫びながらやっと靴をぬいだ。



