心行くまで久しぶりの動物園を満喫し、帰り道。
もうすっかり当たり前に繋がれた手が心地よい。
この後どうしようか、なんて話をしながら歩いていると
(……あ、)
見覚えのある制服を来た女子中学生が、自転車であたし達の横を颯爽と通り過ぎていった。
…懐かしいな。
「センパイどうかしましたか?」
不思議そうに聞いてくる真木。
「いや…、あ」
雨?
ふいに頬に落ちた冷たい感触。
空を見上げると、いつの間にかどんよりとした雨雲で覆われていた。
どんどん激しくなる雨に近くの駄菓子屋へ緊急避難。
「今日天気予報のオネーサンは一日晴れって言ってたんですけどねー」
軒先で恨めしそうに空を見上げる真木。
「オネーサンだって外すことくらいあんだろ」
「…どうしますか?この後」
「あー…」
時計を見ると午後5時。
「…俺んちこの近所なんですけど。よかったら…来ます?」
え…
真木の家!?



