「…おい」
「はい?」
帰り道、ギュッと繋がれた右手。
「…こんなことしてたらまた変な勘違いされるぞ」
「…センパイ、まだそんなこと気にしてたんですか?」
だって。
もうすっかり夜だけど、ここら辺電灯があって結構明るいし。
実は穴場スポットなのかカップルがやたらと多いし。
心なしか皆こっちを見てるような…
「くだんないこと考えんの禁止」
モヤモヤしているとグイッと繋がれた手を引っ張られて
チュッと触れるだけのキスされた。
…一瞬すぎて目を閉じる暇もなかった。
「おっ…お前な!!」
「センパイは俺のことだけ考えてればいいんですよ♪」
全く悪びれた様子もなくニッと笑う真木に、心臓の奥が変な音をたてる。
「…バーカ」
ギュッと力をこめると、それに気付いた真木がフッと目を細めて
(…そういえば手、繋ぐのはじめてだ)
さらに力強く握り返される手に、そんなことを思った。