「アレお願いします」
真木がそう言うと、美人店員は「かしこまりました」と洗練された笑みを浮かべた。
そしてあたしを見てニッコリ微笑む。軽く会釈で返した。
「…ここよく来るのか?」
つーかアレって何なんだよ、アレって。
「はい、まぁ。
ここのケーキすごくおいしいんで研究に♪」
「へー…」
真木の夢は料理人だもんな。
「…店員さんメッチャ美人だな」
「あの人日向(ヒナタ)さんっていうんですよ。
ここの看板娘で、雑誌に特集されたこともあるんです♪」
「…へぇ」
別にそこまで聞いてねぇよ。
なんか悶々とする。
「…センパイ」
「なんだよ」
他の店員さんと何か話している日向さんとやらを見ながら返事すると
「もしかして
ヤキモチですか?♪♪」
嬉しそうに目を輝かせた真木がそう言った。



