唇をはなす直前、そっと僅かに噛まれた下唇が、なんだかジンジンした。






「…今回はセンパイ具合悪くなっちゃったんで、特別ですよ?」



フッと唇の端をあげてそう言う真木。





「なーんて、ホントは俺がどうしてもキスしたかっただけなんですけどね♪」




「っはなれろ変態!!」




「嫌ですよ?

俺ずっとセンパイのこと好きですから。


絶対に、はなしません♪」





九月の秋空の下。






「…言っとくけど。



あたしはお前のこと好きじゃない」




「…知ってます。


でも今は、でしょ?」





余裕そうなポーカーフェイス。




「…これからも、って言ったら?」



「恋愛に絶対なんてないんですよ♪」





あたしの短い髪に指をからませた奴は。





「振り向かせてみせます♪


…どんなことをしても」





生意気で強引な宣戦布告。




「新しいゲームスタート、ですね♪」