「報酬も無ければ、別の依頼でそいつから聞き出さなきゃいけねえ情報も聞き出せなかった。」



何も収穫は無かったと。


その上、後始末だけはちゃっかり残ってしまう。




「まあ、大失敗ね。」



「…………。」



珍しく、相当落ち込んでいる様子のライオン。



ちょっと気持ち悪い、と思ったのは秘密にしておこう。




「そういえば、トラの好きな作者『郎次郎』の本が今日発売じゃなかった?」



私は、それだけ言うと、幹部室の資料室へと向かう。



私も、お節介焼きのようだ。




資料室の奥へと進み、この前の仕事から得られた情報に関する資料を取る。




「それから、このボイスレコーダーと動画……あとは……」




もう一度、リビングに戻った時。



ライオンの姿は無かった。