「知らなかった…!子どもがいるなんて、情報はなかった……!」



みくるは掠れた声で悲鳴のように叫ぶ。



「リビングに彼らの死体を見つけたその子は、泣き叫んだの。もう動かないのに縋り付いて (すがりついて) 必死に呼びかけて……」



みくるにとってそれが “悲劇” だったのか?



「死んでいるとわかっている。
無意味だと知っている……だけど、それでも彼らと生きたことが一瞬で崩れることを受け止められない……!
その気持ちがわかるの……!!」



気持ちがわかる……?


どういうことだ?その言い方じゃまるで……



「私も同じだったから!」



『私も同じ』


みくるのその一言が、俺の心に刺さる。



みくるは、親を失った?


目の前で死ぬ親を見たっていうのか?



「この依頼は、誰かの恨みや憎しみの依頼じゃない。
子どもを残すことに意味を持った依頼。

子どもを闇の世界に入れるために、両親を殺した……。」