ーガチャンッー

七瀬が生徒会室を出て行った後、微妙な沈黙が生徒会室を流れた。
……なんであんな…、変わってしまったのだろうか。七瀬はどうしてあそこまで生徒会を拒む?原因はなんだ?
考えても考えても答えは出なかった。
そして、この沈黙を破ったのはカオルだ。
「千咲ちゃん…なんか、泣きそうじゃなかったか?」
七瀬が出て行くのを1番近くで見ていたカオルの言葉に俺とミサキは顔を見合わせた。
「チサちゃん…何か言いたそうだったよ?」
女のことには敏感なユキまでも…。
なんで、泣きそうになるんだ?どうしてだ…。
頭を抱える俺に声をかけたのは長年の付き合いを経たミサキだった。
「お前らは本当に世話が焼けるな…。」
俺の肩に手を置き、ため息混じりにミサキは続けた。
「お前が傷つく資格はないんだ。また繰り返すつもりか?」
顔は微笑んでいるのにミサキの目は真っ直ぐに俺を捕らえていた。
「何の話?」
ユキがすかさず入って来た。
「繰り返すって…どういうことだ?舞尋?」
カオルも遠慮気味に入って来た。
………。
俺は……。
「なんでもねぇよ。」
吐き捨てるような言い方しかできなかった。
居心地が悪くなって、俺は生徒会室を出た。

「言えるわけ…ねぇじゃん…。」
静かな廊下に俺の小さな声が虚しく響いた。