おばさんが迎えにきてくれて、病院へ行った。

受付とかはできてるってことで、診察室の前で待つように言われて待ってたら
翔兄ちゃんが廊下の向こうから歩いてくるのが見えた。
「真奈ちゃん、ちゃんと来れたね。じゃ、入ろう」って診察室に一緒に入った。

体温計を渡されて脇に挟んでいるうちに、のどを診られ、聴診器もあてられた。
熱もなくて、すぐ注射の準備がされた。
「今日は右に打つからね。」って右の袖を捲られて、おばさんが後ろから支えてくれた。
袖が捲られただけで涙がでてきちゃう。
おばさんが「子供のころの翔みたいね。」って笑って言った。
「えっ?どういうこと?」
「翔もね、小さい頃、身体が弱くってね、しょっちゅう熱だしたり、何度か入院もしたし、子供の頃は病院嫌いで診察や注射のたびに暴れて大変だったのよ」
「あぁ、ばらされちゃったなぁ。真奈ちゃんには格好いいとこしか知られたくなかったのにね。かあさんはおしゃべりだなぁ。ま、真奈ちゃんは泣くだけで暴れないから、オレよりずっといい子だ。さぁ、頑張って終わらしちゃおう」って注射を打たれた。
痛くって涙がでちゃったけど、翔兄ちゃんには、「えらいえらい。よく頑張った」って褒められた。それで、今日の話は健や友には内緒だよって言われた。