残り物には福がある?

「って、ええええええ!!! 聞いていないよっ!?」
「いや、今……言ったし」
 ナオ君は困ったようにそう言って。
「と、とにかく……翌日、僕は引越しで別の町に行くことになって、ハンカチを返そうと公園に来たけど……朝早かったから、誰もいなくて、瑠璃ちゃんにも……会えなくて……悲しかったことを、覚えてる」
「そうだったんだ……」
 と、ナオ君は、にこっと満面の笑みで。
「じゃあ、これ、返すね」
「いや、もう使わないし。いいよ。それに、それ、ナオ君の大事な思い出の品になってるんじゃないの?」
 言われてナオ君はおろおろ。